今後も円高が進めば、損失額はさらに拡大するだろう。
しかも、不良債権処分損は、国全体としての損失ではなかった(金融機関は損失を被ったが、他方で借手は利益を受けたからである)。
対外資産の損失は、日本全体としての損失である。
しかも、日本の対外資産の多くが債券だ。
だから、アメリカの金利引き下げは、2重の意味で日本に損失をもたらす。
第一に、円高を加速する。
第二に、それによって日本が保有するドル債券の金利収入が減少する。
損失額は、Cグループだけで2兆円程度に達する可能性があると言われている。
2007年9月のIMFの報告書は、「金融機関の損失は1700億~2000億ドル程度」とした。
ECDは最終的な損失額を3000億ドルと推計している。
また、4000億ドルに達するとの報告もある。
米証券大手GSのEが2008年3月に明らかにした見通しは、世界の金融機関などが被る損失の総額は1兆2000億ドルにのぼる可能性があるとしている。
このうち約40%に当たる約4600億ドルがアメリカ分であるという。
外貨準備の含み損が明白なのは、現在約105兆円にのぼる外貨準備だ。
このほとんどがTB(アメリカZ務省証券)だと考えられる。
つまりドル建て資産だ。
大規模介入が行なわれて外貨準備が積み上がったのは、2003年から2004年の春にかけてである。
当時の為替レートは1ドル=20~30円程度だったので、現在のレートでは10~20兆円の含み損が発生しているはずである(17兆円程度との報道もある)。
消費税の年間の税収額を超える額だ。
国民1人当たりで言えば、約8万円だ。
5人家族の場合には、40万円になる。
これだけの額が、為替レートの変動によって失われているわけである。
しかも、ドル安はこれで終了したというわけではない。
今後ドルがさらに減価し、日本の外貨準備の価値がさらに減少する可能性は、決して否定できない。
「外貨準備は収益を目的とするものではないから、安全に運用することが重要」と説明されてきた。
たしかに、そのとおりである。
ドル建て資産に著しく偏る運用をしてきたという意味で、安全とはほど遠いものだったのである。
株式ではなくTBに運用してきたことをもって「安全」と考えていたのであれば、驚くべき無知と言わざるをえない。
もちろん、為替レートの将来を予測することはできない。
だから、分散投資するしか方法はないのである。
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